改良メダカ品種分類案 4 Q&A


Q1.品種を分類する目的は何か?
Q2.メダカの基準の確立が本当に必要なのか?
Q3.品種とは何か?
Q4.形質とは何か?
Q5.品種を形質にて分類するのはなぜか
Q6.他の魚では,どのように品種分類されているか?
Q7.品種を遺伝子型で分類しない理由は?
Q8.ニックネームやハウスネームの扱いはどうするのか?
Q9.品種分類案は強制なのか?
Q10.品種分類案に記載してある形質の組み合わせでは分類できない品種についての扱いは?
Q11.新品種の定義は?
Q12.今後新品種はどのように認定されるのか?また,新しい形質はどのように認定されるのか?
Q13.新しい形質の名称はどのように決まるのか?
Q14.形質名からニックネーム性を排除するのはいかがなものか?
Q15.新しい形質として認められる際、グループによって難易度が異なるのか?
Q16.品種分類の重点を置いたところに賛同できないのですが・・・
Q17.基準は主観で決めているのでは?
Q18.同一品種で,その子供に様々な形質をもつメダカが産まれる場合,品種名はどうなる?
Q19.系統とはなにか?
Q20.形質に系統は関与しないのか?
Q21.色素胞とはなにか?
Q22.拡散凝集反応とは?
Q23.メダカの体色はどのように決められているのか?
Q24.体色の分類に含まれていない色のメダカがいるがどう扱うのか?
Q25.一つの形質が複数の表現をする場合,何を基準に形質を分類しているのか?
Q26.多色体色の分類は?
Q27.ヒメダカはどの形質に分類さるか?
Q28.「黄」と「黄金」の違いは?
Q29.「黄」と「オレンジ」と「朱赤」の違いは?
Q30.「緑光」はどの分類になるのか?
Q31.「オロチ」はどの分類になるのか?
Q32.透明鱗の特徴は?
Q33.「非透明鱗」は分類しないのか?
Q34.「オーロラ」は分類しないのか?
Q35.オーロラを半透明鱗と命名したのはなぜ?
Q36.背地反応する「黒メダカ」と背地反応しない「ブラックメダカ」を同品種と扱うのか?
Q37.ヒレに色素の特徴がある品種の扱いはどうするのか?
Q38.「ブラックリム」とは?
Q39.多色の「ラメ」「体外光」「体内光」は分類しないのか?
Q40.「全身体内光」の見分け方は?
Q41.「深海」「マリンブルー」のような体内ブルーはどの分類になるのか?
Q42.「ブラック体色」と「ブラックリム」は同時に発現するのか?
Q43.「ブラックリム」と「斑」の違いは。見分け方は?
Q44.「スピアテール」や「青蝶」など,ヒレを伸長させる箇所を限定した品種の分類はどうなるのか?セルフィンとメラーはその関係に近いのでは?
Q45.色揚げの賛否についての見解は?
Q46.不完全優性や複対立遺伝子など,単純なメンデル遺伝をしないものは形質に含むのか?
Q47.新品種の作出方法はどのようなものがあるか?
Q48.改良メダカの特徴を決める遺伝要因と環境要因とは?
Q49.青メダカに緑を含むのは分類として不適当ではないか?
Q50.遺伝子を持っていることは,形質や形質補足に分類されないのか?
Q51.パンダは透明鱗のグループに分類するのが適当では?
Q52.ブラックとブラック黄金で形質と形質補足に分離したのはなぜですか?


■品種分類の手法について

 

 


Q1.品種を分類する目的は何か?
A改良メダカ業界を発展させるためです。改良メダカ業界発展のためには,各種メダカの基準(スタンダード)の確立が必要です。各種メダカの基準を明確にし,スタンダードに基づいて美しさを追求し,各品種の美の極致とも言えるメダカの作出を目指すことが改良メダカ業界の発展につながると考えます。品種の定義があいまいでは,各品種のスタンダード(当該品種の特徴)すら決めることができません。
 

 


Q2.メダカの基準の確立が本当に必要なのか?
A日本メダカ協会は「改良メダカを,錦鯉・金魚に次ぐ『日本における,第3の観賞魚文化』として確立し,後世に末永く残すこと」を理念に掲げ,以下の活動を実施しています。
〇品評会の開催
→記録に残し,国内外に情報発信。愛好家の飼育レベルの向上。各種改良メダカの基準の確立。愛好家の交流の場。
〇新種メダカの認定
→記録に残し,国内外に情報発信。愛好家の品種改良への意欲向上。各種改良メダカの基準の確立。(改良メダカ業界唯一の品種認定機関)
〇メダカ飼育に関する講習会
→愛好家の飼育レベルの向上。愛好家の交流の場。(改良メダカの魅力を発信)
これらの活動の共通事項として,各種改良メダカの基準の確立が挙げられます。つまり,改良メダカ文化形成には,各種改良メダカの基準の確立が必須だと考えます。ここで言う各種改良メダカの基準とは,本案に置ける改良メダカの形質を指します。各種改良メダカの基準がしっかりしてないと,何が良いメダカで何が悪いメダカなのか,ですら判然としない上に,新種認定も実施することができません。そのような基準のない業界には長期的な発展は望めないと考えます。

 


Q3.品種とは何か?
A「生物分類上の一段階。種より下の階級の一つで,基本的には同一種であるが,一,二の形質に異なる点のあるものを品種として区別する。」と大辞林 第三版に記されてあります。また,ネットでは「種の中で,他の個体と区別できる,人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており,それにより他と区別できる,もしくは産業上区別する意味の認められる個体群」とされています
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%93%81%E7%A8%AE)。いずれにしても,種(ニホンメダカ)の中で形質によって区分することのできる個体群,であることに変わりはなく,したがって改良メダカの品種は形質によって分類するのが適切であると考えます。

 


Q4.形質とは何か?
Aここでは,目視で判別可能であり,子孫に遺伝する改良メダカの特徴,と定義しました。

 


Q5.品種を形質にて分類するのはなぜか
A錦鯉,金魚は,改良メダカの世界で言うニックネーム(形質の組み合わせではない品種名)を品種名としていますが,各品種のスタンダードははっきりしています。そして,各品種のスタンダードは形質の組み合わせで説明されています。改良メダカは日本文化的側面があるため,錦鯉,金魚のようにニックネームを品種名にすべきとの声もありますが,まずはそれぞれの形質をしっかりと定め,形質について十分な理解を得ることが先決だと考えます。ゆくゆくは,品種名を形質の組み合わせからニックネームに移行することもあり得ます。

 


Q6.他の魚では,どのように品種分類されているか?
A1.2品種分類の歴史のページをご参照ください。

 


Q7.品種を遺伝子型で分類しない理由は?
A日本メダカ協会における品種は,あくまで目視で判別可能なメダカを指しています。異なる形質を有する場合,遺伝子型も異なるということになりますが,その遺伝子型を解明するのはあくまで学問の世界の範囲だと考えます。改良メダカは遺伝子型の解明がなくとも,目視と経験によって形質の分類が可能であるため,本案では遺伝子型による分類を採用していません。もっとも,遺伝子型の解明が,育種交配の効率を飛躍的に向上させることは言うまでもありません。

 


Q8.ニックネームやハウスネームの扱いはどうするのか?
Aこれまでの経緯からニックネームをつけるのは改良メダカ文化のひとつであると考えられるため,規制などは考えていません。また,系統の明確化や愛称による認知のされやすさなどメリットもあります。しかし,ニックネームだけでは改良メダカの特徴がわかりにくいという声が多々あるため,販売や品評会の際にはニックネームと併記して品種名(形質の組み合わせ)を提示することが,愛好家にとってわかりやすい表記になると考えています。

 


Q9.品種分類案は強制なのか?
A日本メダカ協会はあくまで任意団体であるため,法的強制力はありません。本協会は,品種分類案を提示することが,品種分類の議論を活発化させ,改良メダカの発展につながると考え活動しておりますので,採用するかどうかはあくまで個人の判断に委ねられています。

 


Q10.品種分類案に記載してある形質の組み合わせでは分類できない品種についての扱いは?
A改良メダカは今後もどんどん進化することが見込まれるため,新しいメダカが産まれる度に新しい特徴の認定を行う必要があると考えています。もし,本案では分類できないメダカの情報をお持ちでしたら,情報提供いただければ幸甚です。改良メダカ業界発展のためには,協会内外問わず,業界全体の協力が必須だと考えています。

 


Q11.新品種の定義は?
A第2章に記載した通り,新品種とは,新しい形質の組み合わせを持ったメダカもしくは新しい形質を持ったメダカのどちらか,としました。なお,日本メダカ協会では外来種との交配や遺伝子操作による新品種の作出は一切認められていません。

 


Q12.今後新品種はどのように認定されるのか?また,新しい形質はどのように認定されるのか?
A現在改良メダカ界で唯一新品種の認定を実施しているのが,日本メダカ協会主催の日本メダカ品評会新種部門です。今後も,当該部門において新種の認定を実施する予定ですが,より改良メダカの発展につながるような認定方法を模索し,適宜修正等を行う予定です。

 


Q13.新しい形質の名称はどのように決まるのか?
A上記の通り,日本メダカ協会主催の日本メダカ品評会新種部門において新しい形質の認定を行う予定ですが,その名称は日本メダカ協会にて決定する予定です。新しい形質は,品種分類案に反映されるため,他の形質名との整合性などを図る目的などから日本メダカ協会が決めるのが妥当と考えます。もちろん作出者の意図も大切であるため,ニックネームを用いて作出者の意図を表現することができます。

 


Q14.形質名からニックネーム性を排除するのはいかがなものか?
A作出者の意図はニックネームにて表現することが可能です。また,形質においてはニックネーム性を排除した方が会話などスムーズに行われるようになります。例えば,体外光を例にとると「○○メダカに体外光を入れる」などの使用が散見されます。これが「○○メダカに幹之を入れる」では前者よりわかりにくいとは思いませんか。このように,形質は改良メダカの特徴を表現しているため,その名称は特徴を端的に表しており直感で理解可能な用語が適切と考えます。

 


Q15.新しい形質として認められる際、グループによって難易度が異なるのか?
A異なります。ヒレ変化など、形質として認められやすい(=目視で判別しやすい)ですが、体色等目視で判別しにくいグループは新形質の認定の難易度は高くなります。

 


Q16.品種分類の重点を置いたところに賛同できないのですが・・・
A品種分類案は,完璧なものを作ることは不可能ですので,反対意見が出ることは承知しております。しかし,重点を設置せずに品種分類をしても,結局のところ曖昧な案しか作成する事ができません。本案は強制ではありません,もし可能ならばご意見をいただき,ともに議論を重ね,業界発展につながる活動として実施していきたいと考えております。協会は任意団体ではありますが,理念に共感していただける方は共に活動ができると信じております。

 


Q17.基準は主観で決めているのでは?
Aどの芸術も初めは個々の主観により基準を決めるものと考えます。その主観が集まり大多数の共有認識になることにより,美の基準は確立され浸透していくものだと考えます。改良メダカ業界では,美的感覚に最も重要である「特徴の共有認識」が不足していると感じます。したがって,まだ多くの意見や議論が必要ですので,積極的な意見や議論をお待ちしております。

 


Q18.同一品種で,その子供に様々な形質をもつメダカが産まれる場合,品種名はどうなる?
A様々な形質が産まれるということは,形質が固定されていないという事です。前提として、形質の固定率があまりに低いものは品種として認めるのは妥当ではありません。様々な特徴の中で,その品種の特徴を表す固体を選出し,その形質から品種名を決めるのが適当かと思います。また,それぞれの別の形質についても,メダカも遺伝が確認されれば,別品種として扱う事ができます。
例を挙げると,「灯」というメダカは様々な表現のメダカが産まれますが,基本となる特徴は「黄体色に体外光がのること」です。つまり品種名は「黄体外光」です。したがって「品種名:黄体外光,ニックネーム:灯」となります。黄体外光以外の特徴(例えば黄体色で体外光が無いメダカ)のメダカについては、「ニックネーム:灯」と呼んでもよいのですが,品種名を黄体外光とすることはできません。たとえ灯の子供でも、体外光が載っていないものは黄体外光とは名乗れません。このような混乱が生じるため、同一ニックネームで複数の品種名を保有することになるためあまり望ましくはありません。基本的には,一品種につき一ニックネームとするのが望ましいと考えます。

 


Q19.系統とはなにか?
A様々な意味合いを含むため一概には言えませんが,改良メダカの世界においては以下の二つの意味での使用が散見されます。
1.目的(選抜基準)を持って累代繁殖した血統群
2.共通の祖先を持つ個体群
2.の方がより広い意味合いを持ち1.の内容を内包しています。よって,ここでは1.を狭義の系統,2.を広義の系統と便宜上分類します。狭義の系統の例は楊30等,広義の系統の例はA店で購入した楊貴妃を累代繁殖(選別していなくとも)したメダカ群,などです。
狭義の系統を作るにあたり重要なことは以下の2点です。
1.選抜基準を明確にすること
2.選抜基準を変える事なく,長期にわたり累代繁殖させ系統の特徴を固定化させること
選抜基準が変更した時点で,その系統の固定化作業は一からやり直しとなります。また,特定の形質を除外するという作業も系統の作成には重要です。(非透明鱗系統ならば,透明鱗の形質を除外する作業,など)

 


Q20.形質に系統は関与しないのか?
A関与しますが,あくまで目で見て判別できるものを形質としました。形質と系統の関係性は3.9補足資料にて詳しく説明してあります。
 
■品種分類の具体的な内容について
 

 


Q21.色素胞とはなにか?
A色素化合物を内包する細胞内小器官(色素顆粒)をもつ色素細胞です。メダカは以下の四つの色素胞を持っており,これらの色素胞によって体色を表現しています。



また,四つの色素胞にはそれぞれ特徴があります。




 

 


Q22.拡散凝集反応とは?
Aメダカが泳ぐ環境(背景の色)によって,細胞内小器官である色素顆粒を移動させる反応です。これによりメダカは背景の色によって体色を変化させることができます(背地反応,背地適応反応,保護色機能などと呼ばれる)。


 

 


Q23.メダカの体色はどのように決められているのか?
A野生メダカの体色とは異なる改良メダカの体色は,以下の三つの要因により表現されています。


 

 


Q24.体色の分類に含まれていない色のメダカがいるがどう扱うのか?
A具体的なメダカの特徴と写真を提供いただければ,どのように扱うかを検討いたしますので,積極的な情報提供をお待ちしております。

 


Q25.一つの形質が複数の表現をする場合,何を基準に形質を分類しているのか?
A主たる表現をベースに分類を行いました。例えばスモールアイでは,目が小さくなる特徴と体色の背地反応が少なく,黒体色が薄くならない特徴があります。どちらも重要な特徴ですが,スモールアイであるかどうかを判断する際には主には前者の特徴を用いるため,スモールアイは「目の変化」に分類しました。アルビノに関しても同様です。

 


Q26.多色体色の分類は?
A多色体色(二色,三色メダカなどの表現)は,基本的には部分的に色素胞が発現もしくは欠損する形質により表現されると考えられています(例:斑(黒色素胞の部分的発現),透明鱗(黄色素胞の部分的欠損),非透明鱗系統(黄色素胞の部分的発現),ブラックリム(黒色素胞の部分的発現)など)。したがって,基本体色をベースに,これらの形質にて基本体色以外を表現する,もしくは単純に基礎体色を二つ並べて品種名とします。

 


Q27.ヒメダカはどの形質に分類さるか?
Aヒメダカは体色の幅が非常に大きいですが,本案においては黄もしくはオレンジに分類されます。ヒメダカの名称は江戸時代より使用されてきましたが,改良メダカの世界では体色に「緋色」という表現が使われることがあまりないため,本案では「緋色」を体色から除外し,黄やオレンジに分類しました。

 


Q28.「黄」と「黄金」の違いは?
A黒色素胞の有無によって判別します。詳細は形質の黄体色,黄金体色のページをご参照ください。

 


Q29.「黄」と「オレンジ」と「朱赤」の違いは?
A黄色素胞の色彩によって判別します。詳細は形質の黄体色のページをご参照ください。

 


Q30.「緑光」はどの分類になるのか?
A緑系の体色は,虹色素胞の分布場所によって三つに分類されます。青メダカの形質補足「緑」,体外光の形質補足「緑」,体内光の形質補足「緑」の三つです。いずれも黄色素胞と虹色素胞の組み合わせにより緑色を表現していると考えられます。

 


Q31.「オロチ」はどの分類になるのか?
A品種名:ブラックメダカ
補 足: ブラック(背地反応無し)

 


Q32.透明鱗の特徴は?
A形質としての透明鱗は形質のページをご参照ください。以下は形質グループとしての透明鱗の説明となります。透明鱗とは,虹色素胞の分布や発現により,体色が普通種より透けて見える形質群です。透け具合は,普通種を含めて4グループ(普通鱗,半透明鱗,透明鱗,強透明鱗)に分類できると考えています。透明鱗は体色が透けるだけでなく,ヒレ色の変化,全体的な体色の変化,眼球周りの変化など様々な特徴を同時に発現します。したがって,4グループ全ての形質が透明鱗グループに分類されているわけではありません。

 


Q33.「非透明鱗」は分類しないのか?
A改良メダカ図鑑によると「幹之メダカの持つ,独特の透明感が移行したもの」「透明鱗ではない三色」を強調した表現」とあります。この特徴を目視で判別することができないため,非透明鱗は形質として分類しませんでした。また,オーロラとの関連については,著者の森氏によると「非透明鱗≠オーロラである」とのことです。その他の情報は,3.9補足資料をご覧ください。

 


Q34.「オーロラ」は分類しないのか?
Aオーロラの内,特有の透明感のある体色については,目視で判別が可能なため半透明鱗として分類しました。

 


Q35.オーロラを半透明鱗と命名したのはなぜ?
A全体の統一性を図るためとわかりやすい形質名とするためです。

 


Q36.背地反応する「黒メダカ」と背地反応しない「ブラックメダカ」を同品種と扱うのか?
A同品種とします。背地反応が全くないものに関しては,共通補足「背地反応なし」と分類し,そうでないものはすべて同列とします。ただし,同一品種内においても,黒色の濃いものから薄いものまで様々な特徴のメダカがいることは確かです。また,本案では黒体色のメダカをすべて「ブラック体色」としました。詳細は形質「ブラック」のページをご参照ください。

 


Q37.ヒレに色素の特徴がある品種の扱いはどうするのか?
A共通補足のヒレ美として分類しました。

 


Q38.「ブラックリム」とは?
A詳しくはブラックリムのページをご参照ください。

 


Q39.多色の「ラメ」「体外光」「体内光」は分類しないのか?
A形質補足の「多色」にて分類しました。

 


Q40.「全身体内光」の見分け方は?
A詳しくは全身体内光のページをご参照ください。

 


Q41.「深海」「マリンブルー」のような体内ブルーはどの分類になるのか?
A共通補足「腹膜青」にて分類しました。

 


Q42.「ブラック体色」と「ブラックリム」は同時に発現するのか?
A判別が難しいですが,同時に発現する個体も存在するかと思われます。

 


Q43.「ブラックリム」と「斑」の違いは。見分け方は。
A詳しくは柄のページをご参照ください。

 


Q44.「スピアテール」や「青蝶」など,ヒレを伸長させる箇所を限定した品種の分類はどうなるのか?セルフィンとメラーはその関係に近いのでは?
Aヒレ変化の分類については,ヒレ変化のページをご参照ください。

 


Q45.色揚げの賛否についての見解は?
A改良メダカの特徴は,遺伝によるものと環境によるものに影響を受けます。色揚げは後者に該当します。本案では,前者を重視する目的で,形質を「目視で判別可能な,子孫に遺伝する改良メダカの特徴」と定義しました。もちろん,環境により特徴を持たせることは他の観賞魚でも実施されていることであり,改良メダカを美しくすることに資するものです。しかし,それはあくまで一品種内の話であり,環境要因により後天的に特徴を際立たせた個体を形質と認めることは改良メダカの進化の面からも適切ではないと判断しました。もちろん,色揚げ自体を否定するものではありませんので,色揚げ等により特徴的な改良メダカが生まれることは,改良メダカの楽しみ方を広げるものであると考えます。なお,色揚げの手法については以下の二つが知られています。



 

 


Q46.不完全優性や複対立遺伝子など,単純なメンデル遺伝をしないものは形質に含むのか?
A 遺伝形態にかかわらず,形質の定義に合致するものは形質とします。

 


Q47.新品種の作出方法はどのようなものがあるか?
A主に以下の二つが知られています。




なお,日本メダカ協会では外来種との交配や遺伝子操作による新品種の作出は一切認められていません。

 


Q48.改良メダカの特徴を決める遺伝要因と環境要因とは?
A改良メダカの特徴を表す度合いを「表現型値」といいますが,表現型値には遺伝によるもの(=遺伝要因)と飼育環境に影響を受けるもの(=環境要因)があり,この二つの要因によって表現型値は決まります。例を挙げると,朱赤メダカは遺伝要因により他のメダカより朱赤色の体色を有しており,さらに色揚げなどの環境要因により朱赤色を高めることが可能です。どちらも改良メダカを美しくする重要な要因ですが,形質の定義でも書いた通り,本案においては遺伝要因による特徴のみを形質とし,環境要因による特徴は形質とは分類しませんでした。したがって下図の通り,同一品種でも環境要因によって色合いが異なることもあれば,別品種でも環境要因によって色合いが類似することがあります。



 

 


Q49.青メダカに緑を含むのは分類として不適当ではないか?
A青メダカは黄色素胞を含まない,と定義している一方,形質補足の緑は黄色素胞を含むとあるため,分類が不適当であるというご指摘の通りです。しかし,緑はまだ形質と呼ぶには十分な個体が確認されていないため,今回は形質補足に分類し,さらに作出の過程から青メダカの派生に分類することが適当と判断しました。今後の進化により,独立した形質となる可能性を秘めている特徴であると考えています。このように,形質補足と形質の特徴が矛盾することがありますが,これらはすべて暫定的な分類であり,今後の改良メダカの進化により分類は変更される可能性があります。

 


Q50.遺伝子を持っていることは,形質や形質補足に分類されないのか?
A形質を発現する遺伝子座を保有しつつも形質発現していない場合を指しているのかと思います。本案では、遺伝子は形質発現に関与しますが形質分類の判断基準としては採用せず,あくまで目で見て判別できる特徴のみを形質としました。

 


Q51.パンダは透明鱗のグループに分類するのが適当では?
Aパンダの特徴は1.虹彩の虹色素胞が欠如し黒く見える,2.腹膜腔の虹色素胞が欠如し腹が黒く見える,3.全体的に透明な体色,の3点だと考えています。このうち,パンダの名称の通り主たる特徴は1.目が黒いだと判断し,目の変化グループに分類しました。なお,透明鱗に分類した場合は,強透明鱗となります。

 


Q52.ブラックとブラック黄金で形質と形質補足に分離したのはなぜですか?
A全体の調和や整合性を図るため,やむなく分類しました。ブラック黄金体色の問題点として,用語自体に二つの色が混在していること,そもそも体色が単色ではないこと,などが挙げられ,議論の結果,形質ではなく形質補足に分類しました。
 




 

 

「改良メダカ品種分類案」はこちら↓↓↓
http://jma-medaka.jp/pdf/1saishinhinnsyubunnrui.pdf

 



改良メダカの体色関連の形質一覧
茶 黄 白 青 ブラック
黄金 琥珀 朱赤 オレンジ ピンク

改良メダカの透明鱗関連の形質一覧
透明鱗 半透明鱗      

改良メダカの目の変化関連の形質一覧
アルビノ スモールアイ 出目 パンダ 目前
ビッグアイ        

改良メダカの虹色素胞関連の形質一覧
ラメ 体外光 体内光 全身体内光 腹膜光

改良メダカの柄関連の形質一覧
斑 ブラックリム      

改良メダカのヒレ変化関連の形質一覧
セルフィン 菱尾 マルコ メラー スワロー
ヒレ長 ロングフィン      

改良メダカの体型関連の形質一覧
ヒカリ ダルマ ヒカリダルマ    

※本記事は、改良メダカ品種分類案の普及を目的として、日本メダカ協会の許可を得て写真や文章を掲載しています。

 

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