改良メダカの系統図

 2000年頃、改良メダカの品種は約20種類程度だったのが、現在では500種類以上に増えました。かなり品種が多いように感じますが、実際改良メダカの形質(体色や体型などの特徴)はそこまで多くありません。約40種類の形質の組み合わせにより、多くの品種を作り出しているのです。

 この系統図では、改良メダカの進化において重要形質を持つ品種だけを選抜して、その作出過程を図式化しました。改良メダカの品種名はこれらの形質組み合わせによって決まります。

※原種とは? めだかの館設立当時(2000年)、市場にて入手可能だった品種。野生メダカのことではない。ここでは原種から作出したメダカを改良メダカと呼ぶ。

◎体色の変化(表の左側)

 

■黄金

2001年作出。初めて原種体色(茶、青、白、黄)以外の体色の固定化に成功した品種。琥珀や楊貴妃などの誕生に欠かせないメダカ。

 

■琥珀

2004年作出。黄金に続き改良メダカの2色目の体色の固定化に成功した品種。

 

■楊貴妃(朱赤)

2004年作出。初めて朱色体色の改良メダカの固定化に成功。鮮やかな朱赤色が人気を博し、改良メダカのブームが起こる。

 

■ピュアホワイト

2003年作出。黄色素胞を持たない純白体色を雌雄に固定化することに成功。作出当事、白メダカはオスがシルキー(黄色素胞を含む白体色:クリーム色)、メスがミルキー(黄色素胞を含まない白体色:純白)に分かれることがほとんどだったが、1匹のオスのミルキーの発見し、累代を重ね体色固定率99%に成功。

 

■スカイブルー

2004年作出。パールブルー(原種の青体色より明るい青体色)体色を雌雄に固定化することに成功。シルバー体色と異なり、ヒレに黄色素胞は発現しない。

 

■ピンク

2009年作出。緋色(オレンジ色)とシルキーの中間色であるピンク体色の固定化に成功。

 

■シルバー

2005年作出。パールブルー体色のメダカの頭部と背ビレ、しりビレ、尾ビレに黄色素胞を発現する品種。オスのみに発現していた特徴をメスに遺伝させ、一つの体色として固定化に成功。

 

■ピュアブラック(スモールアイ)

2001年作出。瞳孔が小さく白い容器でも背地反応(保護色)しない純黒の品種。1匹のピュアブラックの発見から品種の固定化に成功。瞳孔が小さいため周りの反射光(環境の色)を判断できず、背地反応しないことで純黒体色を維持していると推察される。目のバリエーションの一つ“スモールアイ”の元祖となる品種でもあり、作出した2001年頃、もっとも黒いと評されたメダカ。

 

■ピュアブラック黄金

2002年作出。ピュアブラック同様、瞳孔が小さく背地反応しないため体表は純黒であり、各ヒレと腹部に黄金色が発現する品種。ピュアブラック系統の中から尾ビレに黄色素胞が発現する個体を厳選し累代を重ねた結果、茶体色の個体がヒレに色素を有することが判明し、青体色のスモールアイがピュアブラック、茶体色がピュアブラック黄金として確立した。

 

■透明鱗

・眼球や腹膜以外の虹色素胞が欠失し、エラ蓋が透けてホホが血液の赤色を呈し、体表が透ける品種。各体色との交雑により、体色が鮮やかになる傾向がある。

 

■琥珀透明鱗

2007年作出。改良メダカに初めて透明鱗を遺伝させることに成功した品種。

 

■楊貴妃透明鱗

2008年作出。透明鱗の遺伝により、体色がより鮮やかになる個体が産まれる。後の透明鱗三色、透明鱗二色に繋がる重要な品種。

 

■錦

・黒い色素を持つ黒色素胞と無色の黒色素胞が混在することで黒斑が発現する品種。背地反応に影響されるため、黒容器以外では黒斑が薄くなる。透明鱗三色の黒色部は錦の遺伝子が関与していると推察される。

 

■錦秋

・楊貴妃と錦の交雑により、朱赤体色に黒斑が発現する品種の作出に成功。

 

■白錦

・白体色に黒斑の遺伝を固定化。様々な品種と錦が交雑されて、多くの錦系統が誕生する。

 

■楊貴妃透明鱗錦(透明鱗三色)

2012年作出。1匹の個体に三色(白、朱赤、黒)の体色が発現した品種。錦鯉を連想させる姿から“錦鯉のミニチュア”と称され、多くのメディアから注目される。改良メダカが観賞魚として認識された重要な品種。

 

■楊貴妃透明鱗丹頂・更紗(透明鱗二色)

2012年作出。朱赤飛びにより、白と朱赤の二色で構成される品種。日本で人気のある紅白柄ということもあり、全品種の中でも高い人気を誇る。楊貴妃透明鱗錦(透明鱗三色)から黒斑のない個体を選抜し固定化。楊貴妃透明鱗と異なる点は、白と朱赤の境目が鮮明に分かれており、形質に相違があることが視覚的にハッキリと分かること。

 

◎目の変化(表の上側)

 

■出目

2005年作出。頭部が下にくぼむことで左右に目が突出している品種。

 

■目前

2007年作出。目が斜め前を向いていることで正面から見たときに前を向いているように見える品種。

 

■水泡眼

2008年発見。眼球の角膜が膨らみ、水泡が形成される品種。遺伝は確認されておらず、偶発的に出現する。一度割れた角膜は再成されない。

 

■ビッグアイ

2009年作出。体に対して目だけが大きくなる品種。出目と違い、目が突出することで大きく見えるのではなく、眼球そのものが大きくなる。

 

■出目目前

2010年作出。出目と目前の交雑により作出。出目の特徴を活かすことで目前の個性が一層引き立つ品種となる。

 

◎ヒレ変化(表の下側)

 

■スワロー

2014年作出。各ヒレの軟条がランダムに枝分かれして伸長する品種。枝分かれせずに伸長することもある。

 

■メラー

2012年作出。各ヒレの鰭膜がランダムに成長しないことによって、ヒレが複数枚に分かれる品種。

 

■ヒレ長

2015年作出。各ヒレの軟条が伸長し、通常の個体より大きなヒレを有する品種。

 

■サムライ

2004年作出。背ビレの鰭膜の一部が欠損し、背ビレが二枚に分かれる品種。背ビレの鋭い形状を刀に見立て“サムライ”と命名。

 

■信長

2010年作出。品種名「琥珀透明鱗スモールアイサムライメダカ」。稀有な形質であるスモールアイとサムライ、さらに透明鱗を同時に有する改良メダカの最高峰とも言える品種。

 

◎幹之系(表の右下)

 

■幹之

・第一回メダカ品評会(めだかの館主催,2007年)に出品されたメダカ。背部に光沢のある青い光を有する品種。従来の改良メダカにはない圧倒的な魅力は、改良メダカの認知度の飛躍的向上に貢献した。幹之メダカの形質が関与する品種は50種を超える。

 

■流星

2013年作出。背ビレの無い幹之メダカ。背ビレの欠如により、背ビレ部分で途切れていた幹之的光が、流星の様な一直線の幹之的光となった。背ビレの無い形質が改良メダカの見栄えに寄与した稀なケース。

 

■体内光

2009年発見。幹之的光が体表に光を有するのに対して、体内部に青い光を有する品種。幹之メダカ同士の交配の中から、一定数の確率で産まれる。光は体の1/2後方に発現する。

 

■全身体内光

2016年作出。体後方に光を有する体内光とは異なり、全身に体内光を有する品種。また、光の色に特徴があり、体内光は淡い緑のような単色が多く、全身体内光は青や緑、赤などカラフルな表現をする。

 

■黒幹之

2014年作出。黒体色(ブラック体色とは異なる)に幹之的光を有する品種。背地反応するため、黒い水槽での鑑賞が適している。オーロラとの交雑により黒色素胞のある個体を選抜して作出。

 

■ラメ幹之

2012年作出。多くの鱗片にグアニン層が集まることでラメを形成し、そのラメ(反射光)が美しい品種。ラメ幹之が作出されるまでは、数枚の鱗片にラメを有する個体しか確認されていなかったが、幹之との交雑により、多くの鱗片にラメを遺伝させることに成功した。

 

■黒幹之ラメ

2015年作出。黒体色(ブラック体色と異なる)にラメを有する品種。ラメ幹之のラメと異なり、青や緑、赤などカラフルなラメ(多色ラメ)を表現する。

 

■黄金ラメ

2015年作出。黄金体色にラメを有する品種。ラメは青体色と白体色以外の体色に発現することが少なかったが、黄金ラメは多くの鱗片にラメを発現することに成功した品種。

 

■オーロラ

・体表が透明感のある青白い体色をしている品種。頭部は透過していることでピンクがかっている。非透明鱗系統の元となった品種。

 

■クリアブラウン

・透明感のある飴色の体色をした品種。オーロラから選抜して作出。ところどころの鱗片に黒色の縁取り(ブラックリム)がある。

 

■灯

2014年作出。幹之的光を有する個体に、黄色素胞が発現する品種。幹之的光は青体色と白体色にしか発現されなかったが、初めて幹之的光を有する個体に黄色素胞を遺伝させることに成功した品種。

 

■非透明鱗三色

・白、朱赤、黒の三色で構成される品種。朱赤体色をベースにして、朱赤飛びにより白を表現しているのではなく、白体色をベースにして、朱赤、錦(黒)が部分的発現している。白色が透明鱗三色と比較して、より白く表現されることで、一層錦鯉に近い体色になる。

 

■非透明鱗三色ラメ(三色ラメ幹之)

2016年作出。白、朱赤、錦(黒)の三色にラメを有する品種。地色は非透明鱗のような白色で、ラメは黒幹之ラメのよう多色ラメを有する美しいメダカ。

 

※交雑・・・改良メダカにおいては、新品種を作出するために、意図して異品種と交配すること。

 

※朱赤飛び・・・朱赤体色が部分的欠損することで、欠損部位は透過により白く見える

 
 



改良メダカの系統図(韓国語Ver.)はこちら
 
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改良メダカの体色関連の形質一覧
茶 黄 白 青 ブラック
黄金 琥珀 朱赤 オレンジ ピンク

改良メダカの透明鱗関連の形質一覧
透明鱗 半透明鱗      

改良メダカの目の変化関連の形質一覧
アルビノ スモールアイ 出目 パンダ 目前
ビッグアイ        

改良メダカの虹色素胞関連の形質一覧
ラメ 体外光 体内光 全身体内光 腹膜光

改良メダカの柄関連の形質一覧
斑 ブラックリム      

改良メダカのヒレ変化関連の形質一覧
セルフィン 菱尾 マルコ メラー スワロー
ヒレ長 ロングフィン      

改良メダカの体型関連の形質一覧
ヒカリ ダルマ ヒカリダルマ    

 
 

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