改良メダカの用語解説

メダカについてネット検索すると、様々な用語が飛び交っています。ここでは、めだかの館が使用しているメダカ用語をまとめました。メダカ飼育に関する用語を一通り学ぶことができます。ただし、地域や愛好家によっては、言葉の定義が異なることがありますのでご注意ください。また、厳格な定義がない用語も多く、あくまで2021年においてめだかの館が使用している用語として解説をしています。そして、わかりやすさを重視するため、一部極論や不明瞭な記載も含まれますことにご留意ください。
※用語の使用について誤りがあった場合、ご指摘いただければ幸甚です。

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目次

品種
形質
累代飼育、交配
新品種
固定品種と純系
系統
ニックネームとハウスネーム
鰭軟条(ひれなんじょう)と鰭膜(ひれまく)
針子と稚魚(メダカのサイズ)
兄弟メダカ
グリーンウォーター
婚姻色(こんいんしょく)

 

 


品種


 新品種、など様々な場面で使われる品種という言葉ですが、メダカ界における定義ははっきりとしていません。学術的な定義や植物を例にして解説をしてみます。
 
大辞林 第三版には「生物分類上の一段階。種より下の階級の一つで,基本的には同一種であるが,一,二の形質に異なる点のあるものを品種として区別する。」とに記されてあります。また,ネットでは「種の中で,他の個体と区別できる,人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており,それにより他と区別できる,もしくは産業上区別する意味の認められる個体群」とされています。これらを踏まえて、日本メダカ協会ではメダカの品種について「種(ニホンメダカ)の中で形質によって区分することのできる個体群,であることに変わりはなく,したがって改良メダカの品種は形質によって分類するのが適切である」と定義しています。めだかの館も、日本メダカ協会が発行している日本メダカ協会公式ガイドライン改良メダカ品種分類マニュアル(以下、品種分類マニュアル)に従って、品種を定義・分類しています。

まとめますと、ニホンメダカの中で、特徴が異なるグループをメダカの品種としています。特徴が異なる、については次の形質で説明します。
 
使用例
メダカという種の中に、ヒメダカ、シロメダカという品種が含まれている。
 
※ここではミナミメダカとキタノメダカを合わせて二ホンメダカと表記しています。

 

形質


 メダカには様々な特徴がありますが、改良メダカ愛好家にとって重要な特徴は「目で見える事」「次世代に遺伝すること」です。この二つを含む特徴を「形質(けいしつ)」と呼んでいます。メダカの形質は大きく分けると35種類に分類されます。この形質の組合せによって、品種を分類しています。各形質の定義というのも実はあいまいで、2018年までは愛好家によって形質の判断基準が異なっていました。2019年に、日本メダカ協会が発刊した品種分類マニュアルの前身である品種分類案にて、改良メダカの形質が体系的に提案されました。
 
使用例
楊貴妃の形質は、朱赤体色である。
 

累代飼育、交配


 メダカには寿命があるため、メダカの品種を保存するためには、その形質を次世代に遺伝させ続ける必要があります。このことを累代飼育(るいだいしいく)と言います。「累代」と省略することが多いです。これとは別に、新しい品種を生み出すことを目的に、形質の異なるメダカを掛け合わせることを交配と言います。厳密には、掛け合わせること自体を交配、交配の中で異なる形質の掛け合わせを交雑(こうざつ)と呼ぶようですが、この辺りは混同して使用することもあります。めだかの館では交配と呼びます。累代でも交配でも、掛け合わせる親メダカを「P世代(parental generation)」、産まれてくる子メダカを「F1世代(1st filial generation)」と呼びます。P世代は「親」、F1世代はF1(えふわん)と呼ぶことが多いです。累代、交配どちらにおいても、産まれたF1の中から次の掛け合わせを行う組み合わせ(オスメスのペア)を選ぶ必要があります。この作業を選別(せんべつ)と呼びます。


使用例
オレンジ体色を維持するために累代している。
新品種の作出を目的として交配した結果、F2で新しい形質のメダカが産まれた。
 

新品種


 新品種は、今までにない形質を持つ新しい品種の事です。新品種は、次の2パターンに分かれます。
 1.新しい形質を持ったメダカ
 2.新しい形質の組み合わせを持ったメダカ
1.は突然変異によって偶然に誕生することが多く、2.は意図した交配によって誕生することが多いです。新品種を意図してつくることを「作出(さくしゅつ)」と呼びます。


 また、新品種として認められるには、誕生させるだけでなく、新しい形質(組合せ)が次世代に遺伝することが必要となります。形質が次世代へどのくらい遺伝するかは固定率という値で表現します。つまり、新品種作出には、固定率を上げる作業が必須なのです。固定率を上げる作業を「固定化」と呼ぶこともあります。


 飼育をしていて偶然に新しい形質(組合せ)のメダカを発見したときは、「新品種を作出した!」とつい喜んでしまいますが、固定化を経てようやく新品種であることに注意が必要です。なお、次世代に形質が遺伝しなかったけども面白い特徴を持ったメダカを、めだかの館では「珍種(ちんしゅ)」と名付け、品種と区別して楽しんでします。
 
 どのくらい固定化すれば新品種となるかは、形質によります。飼育交配の技術力に秀でている愛好家でも、F4以降でようやく新品種となります。めだかの館では、固定率30%を一つの目安としていますが、30%以下でも次世代に安定して遺伝が確認できれば品種として扱っています(スモールアイなどは、今のところ固定率を30%まで上げることができませんが品種としています)。
 
 

固定品種と純系


 品種の中でも固定率の高低があるため、品種の中で固定率30%以上のものを「固定品種」、その中でも特別な累代飼育をしているものを「純系(じゅんけい)」と区別しています。めだかの館は、長年にわたり自店舗の累代飼育にて品種の固定率を調査しており、固定率30%に達した品種に「固定品種ナンバー」を採番して記録しています。純系とは、長期にわたり、同一人物が同一の選抜基準で累代繁殖を重ねた系統群を指します。具体的には、寺井道典氏による楊30、和田敏拓氏による和田系白ラメ幹之、などがあります。純系は、形質が安定して産まれるだけでなく、長年の累代飼育によって交配に不要な遺伝子が排除されているため、交配の素材として重宝されます。

 
 
 

系統


 系統は、広い意味、狭い意味の二通りで使用されています。
  広い意味:共通の祖先を持つ個体群
  狭い意味:目的(選抜基準)を持って累代繁殖した血統群
ここでは、前者を広義の系統,後者を狭義の系統と区別します。下の図は、同じ楊貴妃の親メダカから、F1、F2と繁殖させた例を示しています。F1では、濃淡さまざまのメダカが産まれました。最も濃い(親メダカに近い)朱赤体色のペアをAペア、薄い朱赤体色を含むペアをBペア、薄い朱赤体色のペアをCペアとします。F2においては、Aペアからは、濃い朱赤体色のメダカが産まれ、Cペアからは薄い朱赤体色のメダカが産まれる確率が高くなります。楊貴妃の場合、朱赤体色が品種の特徴ですので、Aペアを選別する愛好家が多いかと思います。このように、濃い朱赤体色という目的をもって選別し、繁殖を続けた(=累代した)メダカ群が狭義の系統です。一方、広義の系統はA、B、Cペアを含む下図すべてのメダカ群を指します。親を○○店で購入して繁殖させたとき、産まれてくるすべてのメダカを「〇〇店系統のメダカ」と呼ぶことがありますが、その際は広義の系統を意味しています。


 めだかの館としては、狭義の意味で使用することが多いですが、オーロラ系統、非透明鱗系統など広義の意味で使用することもあります。なお、系統と血統との違いですが、メダカにおいては同義で使用しています。また、三色メダカなど、同一品種内で複数の系統が存在することがあります。品種は目視で形質を確認することで区別できますが、系統は目視では区別できない事があります。DNA鑑定などで区別可能ですが、現実的でないため、現在のところ系統を証明するのは飼育者の証言(もしくはハウスネームなどの名前)のみです。

ニックネームとハウスネーム


 メダカには2種類の名前が存在します。品種名とニックネーム(ハウスネーム)です。例えば、楊貴妃という名前はニックネームで、品種名は朱赤メダカとなります。それぞれの特徴は下の表のとおりです。


 ニックネームは、依然は1品種に対して1つ付けられるものでしたが、近年の新品種作出が異なる場所で同時に発生することなどもあり、1品種に対して複数のニックネームがついていることも多々あります。ハウスネームについては、めだかの館スタッフ内でも定義が異なっているくらい、その定義や命名基準があいまいな言葉です。ニックネームとほぼ同義で使う人もいれば、1品種内の系統を区分する際に使う、と捉えている人もいます。めだかの館では定義を明確にせず、状況に合わせて臨機応変に使用するようになりました。
 

鰭軟条と鰭膜


 メダカのヒレは、鰭軟条(ひれなんじょう)と鰭膜(ひれまく)からなります。めだかの館では「軟条」「ヒレ膜」と呼ぶことが多いです。これらの名称は、ヒレ変化の形質を区別する際によく利用します。

 

針子と稚魚(メダカのサイズ)


 メダカは成長に沿って、卵→針子(はりこ)→稚魚(ちぎょ)→S→M→L(LL)と呼び方が変わります。各サイズの体長や目安は下の表のとおりです。めだかの館では、オスメス判別はもちろん、病気の判断やメダカの特徴を確認してから商品として販売するため、主にM~Lサイズのメダカを販売しています。Sサイズ以前はこれらの判別が困難なサイズですので、購入の際には信頼のおけるショップからの購入をオススメします。また、針子は水質変化に弱い為、稚魚になってから水槽移動などを行うことをお勧めします。

 

兄弟メダカ

 
 兄弟メダカは、安価で優良な遺伝子を持つメダカを販売する際に使用します。めだかの館独特の言い方かもしれません。販売の際のグレードとして使用しています。めだかの館の商品は、屋外水槽で飼育したM~Lサイズのメダカ約100匹から数匹のみを選別して、商品セットとして販売しています。この際、商品セットには及ばないものの、病気もなく交配に十分活用できるメダカを「兄弟メダカ」として販売しています。商品セットのメダカより安価にお求めいただけます。
 

 

グリーンウォーター


 メダカを屋外で飼育している際に、植物プランクトンの増殖によって水が緑色になっている状態をグリーンウォーターまたは青水(あおみず)と呼びます。
 
 

婚姻色


 メダカは繁殖期(春〜秋)にかけて、オレンジ色や朱赤色がより濃くなります。この現象または色合いを「婚姻色(こんいんしょく」と呼びます。特に、琥珀メダカが見せる、尾ビレの両端が鮮やかな朱赤色に変化する様などで、婚姻色を観察することができます。
 
 
 
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参考文献
松村 明、「大辞林 第三版」、三省堂、2006年
岩松鷹司、「新版メダカ学全書」、大学教育出版、2006年
川原治之助、「生物学における種の概念」、鉱物学雑誌第13巻第2号p.84〜90、1977年
日本メダカ協会 品種分類部会、「日本メダカ協会公式ガイドライン 改良メダカ 品種分類マニュアル」、日本メダカ協会、
品種(分類学)wikipedia、https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%93%81%E7%A8%AE_(%E5%88%86%E9%A1%9E%E5%AD%A6)、(参照2021.2.28)
2020年

 

 
 

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